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カメレオン漫画「パーフェクトグリッター」は結局誰の物語なのか?(考察・一部ネタバレあり)

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上記リンクはパーフェクトグリッターの感想考察を書いたバックナンバーです。
気になるマンガ紹介でパーフェクトグリッターの記事を書きました。↓
https://www.oninkun.com/perfect-glitter/
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<はじめに>
この記事は第3巻までの概ね35話位までの話を元に考察しています。
本作品の引用セリフの末尾の()は物語の話数です。


2025年11月28日に第3巻も発売され、人気もうなぎ上りの「パーフェクトグリッター」。
当初はNANAとウシジマくんの百合と社会の闇系のキメラ漫画かと思われたが、まさかのイチカ失踪の真相を追っていくというサスペンス謎解き漫画へと変化していっている。

各キャラクターの独白やイチカの闇・探偵の華麗な仕事術など様々なものを見ることができ、色調ががらりと変わる「カメレオン」のごとき様相を呈しているが、この漫画は結局のところ誰の何を描いているのかがいまいち判然としない。


今回はモモにスポットライトを当てることで漫画のテーマを浮き彫りにしていきたいと思う。

<モモを中心に見る>
モモは第1話時点ですでに成人式を終えている20~23歳前後の弁当屋のアルバイトである。
大学は行っておらず、高校の頃から保健室登校をするなど難儀な人生を送ってきた。

そんなコミュ障ボッチのモモの唯一の趣味は、SNSで見つけた自らの憧れの女の子・イチカに関係するモノに絡ませてタグ付けしてストーリーを上げること、そして自分の好きな服を着て自撮りを上げることである。
そこだけが唯一自分の世界に浸ることができる。

だがモモはそれが虚構の世界だと気づいている。
多くの人は自分のことを打ち明けて日々の出来事を分かり合える友達がいたり、恋人を作ったり、家庭をもったり、学校に行ったり就職したりしている。
現実世界の人々なら皆どれか持っているはずのモノや繋がりを
「こんなに大勢の人がいるのに私だけが誰とも繋がってない(1)」
と嘆き、世界と自己が乖離しており自らが大人になりきれていないことに陰鬱とした毎日を送っていた。

またモモは性格的な事も影響して、恋愛にも積極的になれない…というか興味がないし、持ったこともない。
ミユがモモに対して「今好きな人いる?」と聞くと、モモは「イチカ」と即答するが、それに対して「恋愛感情で好きって言える人」と被せ気味に返したところ、モモは「私…そういうの分からなくて…」と返答に困る描写がある。
この会話からも分かる様に、「推し≒好き」であり「好き≒恋愛」ではあるものの、「推し≠恋愛」であるという一般解釈がモモの中では全く成り立っていない。
更にミユの悩み独白的なお話に付き合った後にモモは感想として
「恋愛のこととか良く分からないけど、私はミユさんがイチカのことを嫌ってないだけで嬉しい。(32)」
と年齢に反して小学生的な感想を言い放つ。


<コミュ障な理由>
ではここでモモがコミュ障ボッチな理由も分析しておこう。
モモがコミュ障ぼっちな理由は、
「大人数でいると何を喋っていいかわからない、どんな役を求められているのかわからない。(2)」
「いつも周りになじめないっていうか、頑張っても人の輪に入れなくって、せめて嫌われない様にみんなと同じように振舞わなきゃって思うんだけど、それもどっかズレてるみたい。(1)」
「学校でもそうだったし、バイト先でも結局いつもどこにいても浮いちゃうんだ。(1)」
と自身が独白する様にモモは他人との関わり方が分からないからだった。
それ故その居心地の悪い馴染めなさをひた隠しにして周りに嫌われない・引かれない様な無難な反応をしてやり過ごそうとするが、そのキョドリぶりから逆に皆から敬遠されるという憂き目に遭っていたのだ。

では何故モモは他人との関わり方が分からないのだろうか?
モモ自身は「同い年の子とかに比べて何も経験してこなかったからみんなでいる時の会話とか空気の読み方が分かんなくなって(4)」と述べているが、果たしてそれが主要因であろうか?
そもそもモモは高校時代に周りに馴染めずに保健室登校をしているのだから、経験がないというのはある種の言訳に過ぎない。
そうではなく、やはり価値観が合う人でないとコミュニケーションをとるのが難しい、または他人と共感ができにくいというモモ生来の性格・性質から来るものと思われる。

もう1つ挙げるとするならば、モモが他人に共感がしにくい環境的要因の一例として母親の存在などが挙げられる。
渋谷にモモ一人で行くというだけで、質問攻めのライン、挙句に直接電話してくる。
母親のモモに対する世話焼き具合・過保護であることはモモの性格性質の因子に影響を与えているのかもしれない。

とはいえ、恐らくだが、モモの他人と中々価値観を共有できない直接の原因理由は今後深堀されていくと思われる。
母親の過保護に若干の伏線めいたものを感じる。
モモの過去に何か理由があってのことなのかもしれない。
今後その辺がしっかり描かれる可能性もある。
理由は後述する。


という訳でモモの特徴としては、
「コミュ障・キョドリムーブ、大人になり切れない子供というか小学生」
である。


<変化のきっかけは3つあった>
上記のようなおどおどキョドリが分かり易いモモだが、後述する3つの契機により行動やイチカに対するの思いが変化・深化していく。
①イチカとの出会い。
②イチカの失踪。
③探偵の山卯からのアドバイス。

①イチカとの出会い。
周りに馴染めず常に一人ぼっちのモモに対して、出会ったイチカは魔法のような言葉を掛ける。
「無理して他人に合わせているモモを周りが受け入れてくれたとして、ずっとそのキャラを演じているのその内辛くなるんじゃない?」
「大体さぁこんなに多種多様な人間が学校だったり職場だったりに無作為に集まってみんなで仲良くしましょうってのが無理あるんだよ」
「他人同調することを"強いられてる"って子感じるあたしみたいなのは実生活で自我を出したら排斥されるんだから」
「仲良くなれそうな人とだけ一緒にいればいい。人なんて信じなくていいよ、あたしも信じてない(1)」

モモはコミュ障キョドリ性が故に他人と繋がりを持てずにいたが、本当は自らが獲得(家族という所与の関係性ではない)した、自らの価値観が「合う」人間と同じ時間や感情を共有したいという願望があった。
そんな時に自分が最も憧れている人から、自分を偽らなくても良いというモモにとって心地よい言葉を掛けられた。
イチカと出会ってからモモは「一人ぼっちで画面の中に住んでる私じゃない」と思えるようになる。

自分を偽らなくても同じ感覚で喋れる人がいるという事と、その人と同じ時間や感情を共感できたという経験を得たことで、モモは途方もない嬉しさを感じていたのだ。


さらにイチカとその友人達とクラブに行ってモモが粗相をしてしまった後、モモは自らのふがいなさを悔いるが、イチカによって励まされてから、
「私…イチカの隣を堂々と歩けるような人間になりたい…隣にいても恥ずかしくない様な…。私…変わるからっ…(4」
とモモが夢見ていた自らが憧れる存在に認めてもらえ、かつその自らのアイドルが自身の価値観と共有できている至福なる現実に沿える様、自身がイチカに相応しい人間になると宣言する。

イチカに宣言した通り、モモは朝帰りした際にとやかく詳細を問い詰めてきた母親に対して
「…私にも初めて友達ができたの…!!私今のままだとずっと家の中に引きこもって、誰とも関わらずに他の人が経験知ること何も知らないままきっと年だけ取っていくよ。そんな自分に引け目を感じてどんどん何もできなくなっていくの、もう嫌なの…!!」
と親に対しても自らの懊悩とそれを打破しようという気持ちを打ち明ける。
それが功を奏して後に家でも自分を偽らずに堂々とメイクをして自分の気に入った服を着て家を出掛けるようになる。
イチカと会う前は親とたった一度来たのみの渋谷にも、イチカとともに出歩きシーシャを楽しむ様にまでなった。


イチカと出会うことで、自分にも価値観を共有できる大切な存在が出来、それが故に以前の自分とは異なり自己の興味を外の世界に見出す様なより行動的な存在に変化していったのだ。


②イチカの失踪。
だがイチカはある日を境に謎の失踪をする。
イチカの謎の飛び降り動画と行方不明により、モモはイチカを見つけ助けることを決意する。
それ以降イチカ捜索のため様々な過激な行動を取るようになる。

・ヤナ紹介のタイキのパーティに行った際に、同席にとなったおっさんがモモとホテルに行きたいと言って太ももを触ってきた所、イチカの情報を得るためにこの場にいるという事もわきまえずイチカの捜索に関係ないことであるため、「なんなんですか?お父さんと同じくらいの年の人とどうにかなる訳が無い!」とおっさんに激高して場を騒然とさせる。
・イチカの写真を持っている森というおっさんにイチカの話を聞きたいが袖にされると隙を見ておっさんの携帯を強奪してしまう。

などなど、自らの目的を達する為にかなり過激な非正当な手段を取ったり、目的が達せられないと知るや否や場の空気を破壊してでも自身の主張を押し通そうとする。
第3巻以降の38話におけるタイキのパーティでも多少その片鱗が見られる。

ただ付言しておきたいのは、モモは港区的な大人の闇に触れていないがゆえに、自分より年の離れた人とどうにかなるということは有り得ないという、ごく一般的な常識人的な思考も備えていることである。
この様な社会成員として一般的な思考思想がモモには付随していることはここで付言しておいても間違いではないだろう。

ともかくイチカ捜索という目的を第一としてそれ以外は一切目もくれなくなり、目的に沿わない行動は一切取らないという頑健さが現れてくる。


③探偵の山卯からのアドバイス。
上記の様にモモはイチカ捜索を第一に掲げているため、探偵の山卯にイチカ捜索を依頼しつつも独自にイチカの行方を追っていく。
その中でミユと再度話をする。
モモは以前タイキとミユと話をした際に、上記の様に直情的な行動から待機とミユに警戒心を持たれていた。
だがモモは、ミユにこの前の態度の非礼を詫び色々な話をすることで心理的距離を十分近づけた所、ミユがイチカと初対面の時に一緒にいた女の子が、ちょうどモモがこの前手に入れたイチカと一緒に写っている写真の女の子と同一人物であることの情報をつかみ取る。

これまでのモモの直情的な行動パターンとは明らかに異なる鮮やかな手法で情報を手に入れることに成功する。
だが、実はモモはミユと話す前に山卯からアドバイスを受けていた為であった。
山卯からのアドバイスは、
「岡野さんは素直過ぎる。私がこう考えるのは職業柄なのかもしれませんが、人間っていうのは誰しも皆本音で話している訳ではないし、いい人ばかりではないと思うんですよね。」
「自分が思ったことをただ伝えるだけだと会話っていうのは上手くいかない場合がある。いきなりこちらの欲しい情報聞き出そうとしても相手は身構えてしまいますから。」
「自分の要望を出すならまず相手に与えることです。安心感満足感見返りなど。何が何でも情報を得たいという自分に嘘をついて相手に合わせての演技をするのも必要ですかね(33)」
というモーニングに出てくる自己啓発漫画みたいなアドバイスを受ける。

ともかくモモは覚醒して、情報を収集するためとはいえ直情さを一旦置き会話を成立させるという術を身に付けた。
自宅でこれまでに収集して得られた情報を整理していく様なかなり冷静な様子が見られる。

またこれも第3巻よりあとの36話だが、山卯のアドバイスを受けてのタイキのパーティーでの立ち回りが垣間見られる。
36話と38話ではイチカ失踪後のモモの変化・成長が分かり易く描かれている。



<イチカ捜索に対する思いの変化>
さて、モモはイチカの行方を探す上でヤナやミユなど様々な人と関わっていくが、行動面だけでなくイチカ捜索に対する思いも変化していく。
元々モモがイチカを探す理由は
「イチカとよく遊んでた子たち、ストーリーあげてた子達、皆に動画は送られたはずなのに誰もイチカの話なんてしてない。今この瞬間こんなにイチカの事を思ってるのきっと私しかいない。(4)」
「今もきっとイチカは私が助けに来るのを待ってるんだ。私しか助けられない、私にしかできない(4)」
とある様に、
イチカと親しいはずの人々が誰もイチカの事を気にしていないという現実を受け、自らがイチカを救うと決意したのである。

それがイチカ捜索の一環で人々と話を聞いていく中でイチカを探す思いが変化していく。

・ヤナとの会話にて、
「……それはヤナさんが知ってるイチカで私が見たイチカじゃない……私はっ自分の目で知りたい、人から聞いたことでイチカを判断したくない。もしかしたらイチカはヤナさんの言う通りの人なのかもしれない。でも本当のことはわからない。分からないから知りたいの(23)」

・大和と初めて対面で話して大和に対する印象が変化する中で
「大和さんのことずっと苦手だと思ってたけど、ちゃんと話してみたらいい人だったな…。嫌な人だと思ってたらいい人だった。きっと逆もあるんだろうな。」
「人のことなんて外から見ただけじゃわからない。いくら話したってわからないことの方がきっと多い。」
「…やっぱり私自分自身の為にイチカと話さなきゃ(25)」

・ミユとの再度の会話で
「あ、あの…さっき話したイチカ仲が良かった子なんだけど、イチカのこと"悪魔みたいな女"だって言ってて、どうしてもその言葉と私の中のイチカが結びつかないの。イチカのこと今でも大好きだけど、何が本当だったんだろうって…。」
「だから…ミユさんから見たイチカの事知りたいの。(30)」

と語っていることから分かる通り、元々は誰も気にさえ留めていないイチカを自分が救うという思いであったが、周りの人のイチカに対す様々な毀誉褒貶や自身の体験を踏まえ、
「本当のイチカを知りたい、そのためにイチカと会って話がしたい」
と考えが変化していく。

勿論イチカを救いたいという考えに変化はないだろうが、様々な人と出会い話をする上で、イチカと会って本当のイチカを知りたいという思いが醸成されてきたのだ。


<この漫画のテーマや本質について>
さてここまででモモの変化についてみてきた。
モモに主眼を置いてみると、これまでのサスペンス的な謎解き展開から少し異なるこの物語の本質が見えてくるように思う。

当作品はイチカ失踪の謎を探っていくことにストーリーラインの重心が置かれていくが、そこで頻繁に描写されるのは、イチカに関わる各人(主に女性)の心情履歴やその変遷である。
モモは彼女らとの接触により、自身の行動や思考が変化していく。
見ようによってはイチカの失踪は単なるきっかけに過ぎなず、モモの成長こそがこの漫画が描こうとしている本質と言えるのではないだろうか。
これまでのコミュ障キョドリ無キャから、目的の為に邁進し、そして目的を達する過程でモモが必要とする他人との関わり合い方を身に付けて行っているのである。

つまりこの漫画は、
「大人になり切れなかったモモ(現代人代表)が、現代社会特有の形質(SNS)に触れて、自らを成長させていく物語」
といえよう。


<補足と予想>
なお、ここで今後の物語の展開も予想しておきたい。
今後はイチカ捜索について様々な展開や真実が明かされることになろうが、それとは別にモモの過去が描かれる可能性がある。
というのもこの話に隠れて見えにくくなっているものの、モモのコミュ障・キョドリ・他者への不共感は異常である。
この漫画の性質上モモの成長物語がテーマの一つと仮定すると、現在のモモが何故他人と共感できないのかという理由を掘り下げる必然性が生じてくる。

もう1つの根拠としては、この話はイチカを探していく過程で、イチカに関わる様々な人がイチカとの思い出を話す中で自身の思いを確証していく人が散見されるが、その会話の中でモモ自身の思いや行動に変化がみられているという点だ。
イチカとの思い出を確認していく中で自身を見つめ直すのはモモも例外ではない。

モモが幼少期から現在に至る過程で何故モモがこのようにコミュ障・キョドリ性・無キャ・キョロ充になってしまったのかについて掘り下げ描写とそれに対する克服というものは、当作品をモモの成長物語としてみた時に必要なる要素と言えるのではないだろうか?

モモの性質性格も元々の両親の影響だけとは言い難い。
何故なら姉の存在があるからだ。
モモの姉は、家族との会話からも普通の性格をしており大和とも結婚しているため、モモの様なキョロ充無キャとはとても似ても似つかない。
家族的な因子がモモのキョロ充・無キャ・他者への不共感の理由としては不十分なのだ。

またメタ的に見ても、モモのコミュ障の原因となる過去が詳細に描かれた方がモモ自身のキャラクター性にも深みが出るだろう。


いかがだっただろうか。
モモの変化を追っていくことで、この物語が描きたい本質が若干見え、今後の物語の変遷もより深く楽しめるのではないか。

今後も目が離せない作品である。


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