昨今の塾業界で隆盛を極める個別指導塾。
だが個別指導塾に通わせるには注意が必要である。
というのも個別指導で伸びるかどうかは個人差がかなりあるからだ。
というより、多くの子供は個別指導では伸びにくい。
今回はこのことについて伝えていきたい。
個別指導では成績が限りなく伸びにくい理由。
①生徒の質が低いので指導が難しい
②指導する先生の質の問題。
・質に限りある理由は学生であることと、
また経営者が人件費を経費と考えていること。
①生徒の質が低いので指導が難しい、について
個別指導塾に通う子供のどのような性質をもつのか?
これは別記事でも今後書くので詳細は省き今回は簡単に書いていく。
個別指導に通う必要があるということは、自分では勉強ができない子供ということだ。
普通の人は個別指導に来ない。
なぜなら普通に学校式の集団授業でなんとかなる子供は集団塾に行くからである。
来るのは少し癖のある生徒、まあ有り体に言うと自分一人ではドリルを進めることができない人々である。
そしてそういう癖のある生徒を指導するのは非常に難しい。
それこそベテランの講師でないとテストの点数を上げる指導というのはできかねる。
さて、その上で
②指導する先生の質の問題、について話していく。
指導する講師の質だが、そもそも個別指導の講師の質は高くはない。
これは下記の2つの側面から説明できる。
・アルバイト側の認識の問題。
・企業側の意識の問題。
そまず1つ目のアルバイト側の認識の問題から行こう。
会社の利益率・人件費の関係で学習塾の講師の大半は、アルバイト講師であり、正社員ではない。
講師にバイトを使う学習塾は所詮バイトで対応できる範囲内しか教えることのできないからである。
バイトで対応できる範囲内とはどういう範囲内か?
一般の仕事においてアルバイトの業務範囲を考えると、アルバイトは正社員と比べると単純作業・責任の低い業務を任される。
これを学習塾業界に置き換えると、学習塾のアルバイト講師の業務範囲は、教科書に書いてあることをなぞる程度という事だ。
つまり、宿題をやらない子供や普通の学校授業を理解できない子供を教えることは限りなくできないという事だ。
業務の責任及び能力から逸脱している。
正社員よりも業務範囲が非常に低い彼らに、学校の授業が理解できないレベルを子供を教えても成績を上げることなど出来る訳がないのだ。
更に学習塾のバイトおいて質を決定的に下げている要因が次に述べる点である。
塾の講師の大半が大学生であるということだ。
なぜこれが講師の質を下げている要因なのか?
大学生の学生生活は4年間、4年生は大学を卒業したらその塾からはいなくなる。
そう考えると学生講師は長くてのキャリア4年目程度であり、その4年目も、そして更に3年目の学生講師も就活などでシフトには多くは入れない。
シフトに入ることのできる大学生の大半は就職活動の忙しくない大学1~2年新人講師である。
指導経験も指導知識も浅い彼らが指導の能力が高いはずはないのだ。
「いや、でも先生が凄くできるわけではなくとも、生徒との相性が良い方が伸びるのでは?」という疑問を持つ方もいるかもしれないが、ここで教育業界15年を超える私が断言するが、講師の質は生徒との相性を凌駕する。
というか相性の正体は、教え方の上手さそのものである。
そして教え方の上手さは、すなわち講師の質なのだ。
ここで講師の質というのをもう少し掘り下げていきたい。
講師の質=教え方の上手さであるが、教え方の上手さ=給与単価×経験値(年数)である。
上述した様に、大学1~2年生は経験値も低ければ、アルバイトなので単価も低い。
特に知的産業において学生バイトを使うということは、学生バイト程度ができる仕事しかしないということをよく踏まえるべきである。
そして最後に付言しておくのは、学習塾の経営者の倫理観である。
塾というのは(特に個別指導は)、少子化という時代状況に反して実は堅い商売である。
何故なら基本は前金制、しかも在庫の必要は無し、というキャッシュフローに優れた商売と言えよう。
そういう堅い商売をしたがる経営者の考えることは、まず第一に利益である。
教育<利益なので、彼らは利益追求を最大化させるために、経費削減の機会を常に探っている。
そしてその対象となるのは、経費削減の対象となりやすい人件費だ。
経費削減に一番効果的なのは人件費だから、なるべく採用に金を使いたくない。
そして、この利益第一主義こそが、塾業界において正社員ではなくアルバイトを主たるサービス資本としている理由である。
そして更にアルバイトにさえ、出来るだけ安く使いたい、5~6分のことはサービス残業をさせて人件費を浮かせたい。
(残業をさせると経費がかさむのでやりたくないが、一方で売上は上げたいので、結局サービス残業やワンオペという過酷な労働環境に従業員を追いやってくることになる。
これはまあ、アルバイトに仕事の倫理や流儀を押し付けて、バイトであっても正社員と同じ責任感・振る舞いを強いる様な典型的日本企業の態度に良くあることだが。
だがこれももう、かつての様なバイトリーダーに誇りを持たせようという労働観自体が令和のZ世代には存在しない。)
だが上記の様な、サービス軽視利益重視の経営方針を立てるとどうなるのかというと、一時的には利益が増しオーナーはウハウハになるが、その塾の内部はガタガタになる。
上記の如く人件費をケチると、ただでさえ塾内部はアルバイトなのに、質の良い人材は入りにくくなる、入っても長続きしにくくなる。
出来上がるのは、アルバイトの中でも質的に中の下の非常に見劣りする人材ばかりとなる。
これを疑わしく思う人はその塾が掲げている募集賃金を見てみると良い。
最早ほとんどの塾が時給換算を最低賃金ぎりぎりに設定しているはずだ。
もしくは、授業給はある程度嵩増しされていても、授業旧以外の事務給などは最低賃金に設定されているはずである。
給与水準を最低賃金に設定している企業は、企業の提供するサービスの人材が法定基準の最低水準ですよと告白しているに等しい。
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通常の指導では全く理解できない非常に現状が厳しい生徒を、専門知識も講師経験も浅いアルバイトの大学生の講師に任せなければいけない。それもより質の低い大学生だ。
よっぽど良い先生でなければまず失敗する。
こういう事実が個別指導塾に通わせてはいけない最大の理由だ。
こうしてまた一つ、ブランドだけしかない、地域で成績の上がらない学習塾が誕生する。
さて、ここまで述べた所で、塾の先生の質が低いという指摘に対して、批判の向きも一程度あると思う。
「アルバイトでもちゃんとした人もいる」とか。
「い~や、おれは相性のある先生がいたから伸びた」などなど。
勿論良い先生や相性がある先生というのがいないわけではない。
だが、学習塾に通う生徒が果たしてあまねく先生の中から本当に相性の合う先生を選べるのだろうか?
よく個別指導の宣伝文句で、「その子にぴったり相性のあった先生が指導します!」というものがある。
字面を見ると一見惹きつけられるものがあるが、ここには大きな落とし穴がある。
というのも今後入塾する生徒は、正確に言うと在籍している講師全てが選択肢にはいる訳ではない。
元々在籍している講師陣は、すでに担当の生徒がついているという事実だ。
良い先生というのは人気である。
人気の先生というのは空いているシフトには全て生徒が埋められていることが多い。
(これは塾側からすると無駄な枠を空けておくと利益の機会損失であるので、当然すべて埋まるようにするのだ。なぜなら学習塾とは民間企業であり私的利潤追求のために存在しているからだ)
つまり、講師の枠というものは早いもの順である。
つまり、上記の「その子にぴったり相性のあった先生が指導します!」という宣伝文句は、正確には現在シフトが空いている講師の中で、相性の合う先生が生徒を担当してくれるというのに過ぎない。
そして枠が空いている講師とは、殆どキャリアがない大学1・2年生の講師である。
なぜなら、キャリア3,4年目の経験値がある講師は元々生徒がついているので、枠が空いている講師とはキャリアも経験もない、大学1,2年生の講師が大半なのだ。
だからその子供にとって、抜群に相性の合う先生が担当になることは限りなく低い。
人気のない先生で相性が合うという可能性もなくはないが、こちらも限りなく低いというのは覚えておいて欲しい。
何故なら上述の如く、人気のない先生というのは要は教え方が下手な先生であり、つまり相性を合わせることのできる生徒がほとんどいないという事だからだ。
なお、「良い講師」ということについて付言しておくと、私はこれまで10年以上個別指導の現場にいたが、成績を上げられるという意味で、真に生徒を任せられる先生は2人だけだったという点はここに書き残しておきたい。
そもそも学習というものは本来自分でするものであって、師に大いに左右されるべきではない。
結論:塾と言ったら個別指導塾をまず第一に考えるのは控えるべきだ。
他にも成績を上げる方法は五万とある。
具体的には何があるのか?
というと、これは次回以降又記事にする予定なので乞うご期待。

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